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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1101号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人原田左武郎の上告趣意第二點について。

強盗の意圖を隠して「今晩は」と挨拶し、家人が「おはいり」と答えたのに應じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を缺くものであることは、言うまでもないことである。されば、原判決が擧げている證據中に論旨に摘録するような問答があるとしても、これらの證據によれば原判決のような住居侵入の事実を肯認することができるのである。または原判決の擧げている證據によれば、被告人は原審共同被告人等と共謀の上、原判示第二事実のように、深夜安田節一方に侵入し、ナイフ又は匕首を右節一に示し「金を出せ、騒ぐと殺すぞ」と申向けて脅迫し、よって節一所有の現金一萬圓を強取した事実を肯認することができる。されば、原判決には所論のように證據によらないで事実な認定した違法はなく論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、舊刑訴第四四六條に從い主文の通り判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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